PMS

死にたくなる気持ちの背後に潜むもの。

 PMS(月経困難症)という言葉が社会に普及して早数年。生理前の多くの女性に不快な症状が現れるという事は、今や誰もが知っている。
 けれど、理解が広まったところでいまだに女性は生理によって苦しめられていると、私は思っている。

PMSとは?

 PMSとは、生理の7~10日前から起きる女性の身体の変化にまつわる病気である。胸が張る、眠くなる、にきび・吹き出物・肌荒れが起こる、だるい、食欲が増す、便秘、肩こり、腹痛、頭痛、にきび・吹き出物・肌荒れなど、不快な症状はほぼ全部襲ってくる。不快感全部乗せ。
 更に精神症状としては、イライラする、憂鬱になる、ネガティブになる、などの厄介なものたちが立ち並ぶ。

 これだけの症状があって何食わぬ顔で普通に生活しているPMSの女性は、シンプルにすごい。

PMDDとは?

 PMSの延長線上に、PMDDという病気がある。PMSの身体症状にプラスされて、精神症状がものすごく強く出るというヤバイ病気である。「すごくイライラする」「すごく憂鬱になる」という言葉だけ聞くと、あまり大変に聞こえないが、本当にヤバイ。下手したら人に危害を加えるのでは、というくらい、無性にイライラする
 そして、本当に、原因は何もないのに、信じられないくらい憂鬱になる。人間関係でトラブルが起きるのは必ず生理前。そのくらい、精神状態が悪くなる。はっきり言って周囲にとっても非常に迷惑な病気である。

Twitterで気づいた私の「死にたくなる」周期

私はこのPMDDという病気だった。覚えている限り、小学校高学年の時には既に症状が出ていたように思う。けれど、自分がこの病気であるという事に気付いたのは、2018年の事だ。
 当時私は、Twitterの裏アカウントで鍵をかけて「死にたい」と呟いていた。憂鬱だからなんとなく「死にたい」と言ってしまった、とかいうレベルではない。本当に死ぬ場所を考え、どうやったら死ねるか試行錯誤するほど、死にたかった。それが月一回、ほとんど同じ周期で呟いていると気づいた時、ゾッとした。

 私、これから死ぬまでずっと、毎月死にたいと思わなくてはいけないの?そんなの無理すぎて死にたい。そう思った時、本当にしっかりと生理と向き合おう!治療を始めよう!と決意した。

治療開始。漢方薬に頼ってみる

 決意から二週間後、内科に行って症状を伝えた。精神症状には漢方が聞くと聞いたことがあったからだった。
 最初に、加味逍遙散(かみしょうようさん)を飲んだ。全然効かないままに生理が来て、また私はTwitterで「死にたい」と言ってしまった。
 次に、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)を飲んだ。これまた全然効果がないままに生理が来て、またまたTwitterで「死にたい」と言ってしまった。この時点で、既に治療の決意から三ヶ月が経っている。辛い、辛すぎる。
 そして最後に、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)という漢方を処方された。お察しの通り一ミリも効かなかった。

精神安定剤に頼る

 それから医師のすすめで、エビリファイという精神安定剤を飲む事になった。これが、驚く事にめちゃくちゃ効いた。ただ飲み方にコツがあって、「生理前かな~と言う頃に飲んでね。生理が終わったら飲むのをやめてよいよ」という話だった。
 これはかなり革命的だった。最初から出してくれたらよかったのに!と、思ったのもつかの間、エビリファイを飲むようになって3回目(3ヶ月後)の生理前。そのまま生理が、来なくなった。
 もともと生理周期が不順だった私は最初こそ驚かなかったものの、さすがに60日も来なかった時は、泣いた。

 生理前だけでいいと処方された薬を、60日間連続で飲んでいる。私、一生このよくわかんない精神安定剤飲みながら生きて行かなきゃいけないの?そう思いながら薬を飲んでいるせいなのか、生理が来ていない事による女性ホルモンの変化なのか、精神状態はまたしても最悪に陥った。

産婦人科の主治医を探す

「生理が来ないのは産婦人科だよ」ということで、次は産婦人科を探す事にした。治療の決意から十ヶ月が経過していた。なぜ最初に産婦人科に行かなかったのか?という点についてだが、恥ずかしながら私には婦人科の行きつけがなかった。近所に婦人科の数は少なく、行った事のあるところはことごとく嫌な思い出があってあまり行きたくなかった(そういう所はレビューもすごく悪い)。以前生理痛で受診をした事があったが、その際あわせて精神症状について訴えても取り合ってくれなかった事もある。その点、内科の医師は友人だったので、相談しやすかったのだ。

 悩みに悩んで、自宅から40分程離れた産婦人科に行く事にした。娘を取り上げてくれた産院。自宅から遠いので通院となると億劫だけれど、背に腹は代えられない。行くのを拒んでいる内に私が息絶えてしまうよりいい。
 受診日、生理が来ない、精神症状が本当に酷い、という事を医師に伝えた。そこで初めて私は、自分がPMDDというPMSよりも酷い病気なのだと知った。

「60日もずっとそんな状態なの?そんなんじゃ、仕事も子育ても出来ないでしょう!大変だったね!」

 医師の言葉を聞いて、診察室でワンワン泣いた。そうなの、私、生理のせいで、何もかもうまくいかないの!!!ここで初めて私は、低用量ピルを処方された。これが、本当に人生を変えた。(正確には、止まっている月経を起こすために中用量ピルを飲んでからの、低用量ピルの処方)

低用量ピルで人生が変わった

 現在、ピルを飲み始めて1年と3ヶ月が経った。Twitterの裏アカで「死にたい」と呟く事は、一切なくなった。無性にイライラする事も、意味もなく涙が出る事も、どうでもいい事で激怒する事も、一切なくなった。ついでに、忌々しい腹痛を伴う生理もなくなった。
 これはものすごい事である。長年、自分は精神が不安定な人間だと思っていたのに、違ったのだ。「死にたい」は、私のせいではなかったのだ。

低用量ピルのすすめ

 本当に『ヤーズ』がなければ、死ぬところだった。病気のせいとも知らずに、うっかり自殺してしまいそうだった。同じような悩みを持っている女性には、強く治療をすすめたい。日本ではまだ低用量ピルの認知が進んでおらず、手を出しにくい人も多くいると思う。このブログを読んで、ひとりでも多くの女性が生理に振り回されずに生活ができるよう祈っている。

(※)お薬は医師と相談の元、正しく服用してください。中には漢方が激的に効く!という人もいるかと思います。一人ひとりに合う・合わないがありますので、一個人の意見として捉えていただけると幸いです。

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こちらは、その後幸せに生きていくために何をしたかというブログ。

ABOUT ME
ichinooikawa
編集・ライター・ステップファミリー・ホームパーティーマニア。猫と夫と息子と娘。20時以降は飲酒している。夫と漫画が大好き。