令和元年11月22日(いい夫婦の日)、再婚した。
夫はどんな人か?と聞かれると、ありきたりだけれど「優しい人」という言葉が思い浮かぶ。
優しい人は稀少である
私の夫は、優しい。
本当に優しいのだ。
10代、20代のとき私は、「優しい人が好みのタイプ♡」などと言う女性の気持ちが、一切わからなかった。
優しい人が好きなのは誰だってそうだろうし、そもそも人に優しくするのなんて当たり前だ。それをあえて「優しい人がいい」なんて言葉にする意味がわからないと思っていたのだ。
だから私の好みのタイプはいつでも「イケメン」「ジャニ系」「顔が錦戸亮」などの、顔に注力したものだった。
けれど大人になって、しばらく経ってから気づいた。
優しい人は稀少である。
簡単な事で言うと、大きな荷物を持ってくれない・話を聞いてくれない、という男性はザラにいる。
更に、問題を解決してくれない・感情論でしか物事をすすめない・謝らない・間違いを認めないという人は、信じられないくらいたくさん、いる。
特別意地悪な人に出会って来た訳ではない。友人・知人のパートナーを見ていても、優しくない男性はそこら中にいるのだ。
夫は、とにかく優しい
「友人・知人のパートナーにも、優しくない男性はいる」と書いてしまった後に自慢のようになってしまうが、聞いてほしい。
夫は私が「寝室にハエが飛んでる」と連絡すると、出先からハエ退治のためだけに帰って来てくれる。
「仕事に行きたくない」と言えば、駅まで送ってくれる。
「ひとりでキッチンに立てない」と言えば、後ろで応援してくれる。
「息子は私が叱るので、あなたはいつでも彼を癒す存在でいて欲しい」と言えば、一切息子を叱らずに、常に緩衝材のような役割をしてくれる。
「朝起きるのがつらい」と言えば、毎朝娘を保育園に送ってくれる。←!!
こんなに他人に優しくされたのは、はじめてだ。
もはや、泣ける。
優しい人と一緒にいるのは、いい。自分も優しくなれる。
優しくされることで、怒らなくなる
夫婦で共同生活をしていると、ちょっとしたミスや価値観のすれ違いが、もちろん起きる。
我が家を具体例にして挙げると、夫は強烈なおっちょこちょいなので、保証人欄を埋めてもらった婚姻届けを、うっかりゴミ箱に捨ててしまったりする(それも婚姻届提出日に)。
「やっておいてね」と頼んだ水道料金の引き落とし口座の指定は、三ヶ月も放置されていた。
けれど、普段優しくされまくっていると、そんな事はほぼ気にならない。
婚姻届けは見つからなければ日を改めればいいと思ったし、水道料金の引き落とし口座の指定は三ヶ月後に私がやった。
特にそのとき、腹が立つとは思わなかった。
毎分毎秒優しくされているので、日々支払われている『優しさ貯金』のようなものがたくさん貯まっていて、何か起きた時に「はいどうぞ」と、こちらも優しさを差し出せる余裕があるのである。
(もちろん、上記の事を特に優しくもない男性にされていたら、ぼろくそに文句を言った上で、もう二度と会いたくないと怒るに決まっている)。
『優しさ貯金』を貯める
夫に出会う前までの自分を思うと、泣けてくる。
幼少期に親から貰った、なけなしの『優しさ貯金』を他人に振舞って、もうほとんど『優しさ貯金』は残っていなかった。
誰にも『優しさ貯金』を貰えず、誰かにあげられる私の『優しさ貯金』は、常にカツカツだった。小さな事にイライラして、些細な事が気に障った。
そんな時に出会った夫がくれた『優しさ貯金』は、0円に近かった私の『優しさ貯金箱』にどんどん貯まって行った。
今では家族や友人だけではなく、コンビニの店員さんや道行く人にも『優しさ貯金』を分けてあげられるくらい、私は裕福になった。
好みのタイプは絶対に、優しい人。
夫は、神様がくれた『ラッキー』と『ハッピー』だ。
頑張って頑張って頑張って、それでもいつまでも苦しかった自分に、ふっと神様がくれた、ご褒美なのだ。怒りっぽくて攻撃的だった私が、ご褒美の『優しさ』ひとつでここまで変わってしまった。
多分私は、明日夫が「借金5億円背負ってしまった!」と言って来ても、「そうか!じゃあ一緒に返そうか!」と言えるくらいの『優しさ貯金』を、しこたま懐に貯め込んでいる。
30代の私の好みのタイプは「優しい人」。
これ一択である。
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