結婚を機にフワフワのロングヘアをバッサリ切った。やりたくでも出来なかった憧れのショートヘアだ。ついでに暗めのブラウンだったヘアカラーも、ハイトーンの金髪にしてやった。2回もブリーチをして色素を全部全部抜いてやった! ついに私は金髪のショートヘアを手に入れた。人生はやっとここまで自由になったと思った。
フワフワのロングヘアがいいなんて思ったことは一度もない。けれどずっとそのヘアスタイルでいたのは男受けがいいから。「男の人に気に入られれば色んなことがうまくいく。私は女性なので、いつだって美しい存在でなければいけない」。本気でそう思っていた。それが単なる呪縛であり呪いであり、ミソジニーであり、ルッキズムであると気づいたのは金髪のショートカットになってからだ。
なんだ、男受けって。別に男に受けなくても、私がやりたかった金髪ショートカット、超可愛い。超イケてる。待ち合わせのときに「一番派手な女に声かけて!」と言えば初対面の人ともすぐに会えそうだ。利便性も高い。それから、気に入ったヘアスタイルにしている私はずっとご機嫌。
金髪で男友達に会ったら「今更⁉」と言われた。言ってることわかる。33歳で金髪、自分でもちょっと痛いと思う。でもやりたかったんだ。ずっとずっと、中学生のころからずっと。だからこれからは「30代で金髪なんて痛い」という気持ちを捨てられるようにしたい。同じように年を重ねてから金髪にした人がいたら「素敵ね」といえる自分になる。
男友達には褒められなかったけど、大好きな夫が「似合ってる」と言ってくれた。「ロングヘアも可愛かったけど、ショートカットも可愛い」と笑ってた。それから夫は「君は何をやっても可愛いに決まってる」といった。そう言われた日の夜中、こっそり泣いた。
33年間、ルッキズムに囚われてずっとしんどかった。いつも綺麗でなければいけないし、絶対に太ってはいけない。男の人が好きな装いでいなければいけないし、褒められるビジュアルでなければいけない。
こんなこと、全部くだらないなって思った。私はもうこの終わりのない競争からイチ抜ける。
自分が好きな自分でいればいい。私は私。私は、好きなヘアスタイルで生きている自分のことが大好き。 だからもう、それでいい。
好きな自分で生きていく。